全事研研究部長岡崎信二氏より大会のまとめと次期大会へ向けての課題や方向性などについて、次のように報告されました。
「この福島大会は2004年から始まった「子どもの豊かな育ちを支援する学校事務」の実現を目指した第6次研究中期計画のまとめの大会であり、第7次研究中期計画につなぐ大切な大会でした。
第6次研究中期計画では子どもたちの「育ち」と「支援」をキーワードに、事務職員が、子どもたちが自ら成長しようとする力をいかに引き出し、支援していけるのか、子どもの成長する姿をより豊かなもの、確かなものにしていくためにどう行動していけるのかが最大のテーマでした。そのため“情報”を基に、高知大会で示した、3つの事務職員像((1)学校の自主性を高める事務職員、(2)地域との連携を推し進める地域に根ざした事務職員、(3)学校組織マネジメントを展開する高度な経営能力を持った事務職員)が、この5年間でどのように、どこまで達成できたか問われる大会でもありました。
第1日目の文部科学省の記念講演では学習指導要領の改訂、教育振興基本計画、事務長制などについての説明がありました。
午後からの東北大学川島隆太氏の記念講演では、脳の果たす役割や生活習慣の重要性などについて興味深いお話をいただきました。
引き続き全事研本部からは「学校事務のグランドデザイン」策定事業報告として、これからの学校事務、事務職員の目指す方向性や姿、そして実現のための実行策について説明いたしました。
第2日目の研究発表では各分科会とも大会テーマを踏まえた素晴らしい提案、分科会運営がなされたと報告を受けています。分科会発表に到るまでの一つ一つの活動、悩み、苦しみ全てのプロセスが大切であり、力になります。近事研、東海地区事務研、東北4県では、それぞれ県の特色を活かしつつ共通の目的に基づいた学校事務や事務職員像など具体的かつ実践的な提案をしていただきました。
また、栃木、岩手、新潟、宮城、徳島、広島、宮崎の単独県では、各県の実情に応じた、特色ある、そして学校現場により近い、効果的な実践提案をしていただきました。
全国大会は、今まで積み上げてきた成果をまとめあげ、提案し、議論し、そこで得られた課題や成果を共有化し、共に解決に向けての手立てを考えていく場です。全国大会で得たもの、学んだことを一人一人が明日からの取組にどのように活かしていけるかが大会の真の意味での「成果」になります。また、新しい知識や見識を得る場でもあります。それには、提案が明確であり、目標設定がきちんとなされ、実践の中でどう具現化されていくのかが明らかであることが問われます。第6次研究中期計画の成果である学校経営参画、教育活動支援、学校情報マネジメントを通して学校教育に貢献していく学校事務、事務職員のあり方は第7次研究中期計画と学校事務のグランドデザインが実行されていく上での確実な基盤になります。
これからは、実践と成果が問われます。しっかりとした行動計画をたて、実践し、子どものため、学校のため、地域のため、そして教育のために貢献できる事務職員になっていきましょう。
全体研究会では、お二人のシンポジストとコーディネーターによる、大会初日に明らかにされたグランドデザインについての話でした。ここでは、次の3つの柱から探求され、グランドデザインの実行へのヒントが提示されました。
柱1 グランドデザインをどう読み解くか
柱2 アンケートから
柱3 グランドデザインを実行する上で何をすべきか
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<シンポジスト>
国立教育政策研究所初等中等教育研究部 主任研究官 加藤崇英氏
・ 幅広く網羅されたグランドデザインのため、誰にでも取り入れやすいと思われる。一方で、一人には広すぎる。入口の広さに対し、具体的な課題が見えにくいという点が見られる。
・ 「トータル・プロデューサーになりたいか」の問に対し肯定派は約55%であった。8割の肯定を望みたい。日常の業務との距離感から、イメージが掴みにくいのだろう。
・ カリキュラムマネジメントを事務職員が行うということは、教員の業務をそのまま移行することではない。教員が教育活動に専念できる環境を作るために、学校内で話し合いながら教育と関わって進めていくという手続きが必要になる。
<シンポジスト>
神戸市立中央小学校 全国公立小中学校事務職員研究会 会長 木村信哉氏
・ 学校事務が今までにない注目を浴びていると同時に事務職員最大の危機でもある。教員が子どもに向き合う時間を事務職員としてどれだけ確保できたのかを保護者等に広く理解をしてもらわなければならないときにきている。子どもの豊かな育ちを支援する教育の実現のため、質の高い安定した学校事務を提供するという役割を果たさなければならない。
・ 全事研はグランドデザインを学校事務を担う学校事務職員による子どもたちのための約束と義務としての仕事宣言だと考えている。そのために目標を定め実現のための戦略とスケジュールを描いた。
・ トータルに学校を見渡し、責任を持って仕事を果たして学校づくりを行う「トータル・プロデューサー」になってほしい。
<コーディネーター>
静岡大学教育学部付属教育実践総合センター 准教授 藤原文雄氏
・ グランドデザインには、実行への強い意志を感じる。課題は「学校での事務職員の実践を言語化し、存在意義を前面に出すこと」、「学校にいる意義は教職員とともに教育に関わっていること。同僚性という言葉が欠けていること」である。
・ 学校事務職員は、学校における情報の結節点である。その立場をトータル・プロデューサーとして生かすことができる。
閉会式は三瓶実行委員長より、「事務職員の熱い思い」「歴史厚い事務研の組織力」「熱烈歓迎の暑い気温」の3つのあ・つ・いのキーワードに乗せ、3日間の熱心な研究大会参加に対する御礼のあいさつから始まりました。
木村全事研会長からは今大会で示された「グランドデザイン」の各支部での実践と、次回福岡大会での再会を期待するあいさつがありました。
次に、平成21年8月5日から福岡国際会議場で開催される第41回福岡大会足立実行委員長より、大会サブテーマ「つなげよう新たな挑戦へ -飛梅にのせ全国へ-」が発表されました。「『参加してよかった。』『やってよかった。』という大会にしたい」という熱い言葉の後に、映像によって福岡大会の紹介が行われました。
続いて、三瓶実行委員長から福岡大会足立実行委員長へ旗が手渡され、大会の引き継ぎが行われました。
最後に、会津磐梯山の歌が流れる中、福島大会実行委員と全事研本部役員が登壇し、参加者に向かって笑顔で手を振り、閉会式が閉じました。そして、3日間に亘る研究大会の一切が終了しました。
3日間の大会の中で、多くの方から参加者の声をいただきました。
お忙しいところご協力ありがとうございました。その一部をここに紹介させていただきます。
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開会前の合唱が、爽やかで素晴らしかった。(岩手:男性) |
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開会式から引き続いた記念講演は、興味深く聴くことが出来ました。小学生の合唱のレベルが高く、音楽都市を宣言した郡山ならではと感心させられました。ただ、会場までの交通機関をもう少し確保して欲しかった。(千葉:男性) |
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福島はとても良い印象です。スタッフの皆さんがよく働いていらっしゃった。(大阪:男性) |
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文科省の行政説明は話が面白く、舞台裏の話なども聞けて大変良かった。(滋賀:男性) |
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脳を鍛えると若くなれるんだと、興味深く聴きました。(愛知:女性) |
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分科会は大変ためになった。地域の事情に合わせて取り組んでいきたい(東京:男性) |
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大会がスムーズに進行されていて良かったです。また、スタッフの雰囲気が温かかったです。(茨城:女性) |
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初めての全国大会に参加して、参加人数の多さにビックリしました。この大会で学んだことをどう生かしていくかが、今の自分の課題だと思いました。(福島:女性) |
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最初はマイクの音響がよく聞こえなかったが、午後は良くなり有意義に過ごせた。良い施設だと思った。(長野:女性) |
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記念講演での「目と目を合わせて話す」ことは、大人にも子どもにも大切なことだと思った。学校に帰ってすぐに実践したい。(山梨:女性) |
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グランドデザインから、全事研で考えていることを受け、各県でも考えて行かなければならないと思った。(千葉:女性) |
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明るく丁寧に対応していただき参加しやすい雰囲気だった。分科会は身近なことなので認識を強くした。(山形:女性) |
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大会1日目の8月6日午後6時から、記念祝賀会並びに功労者表彰祝賀会が郡山ビューホテルアネックスで行われました。三瓶実行委員長より福島の食材と地酒を用意しての宴であるとして、歓迎のことばが語られました。続いて全事研会長のあいさつ、来賓祝辞、そして功労者代表あいさつが行われました。歓談では和やかな雰囲気の中、料理に舌鼓を打ち、それぞれの話に花が咲き、有意義な時間を過ごされていました。
福島の地酒
閉会する前に、次期大会である福岡県実行委員会の方々による鮮やかな法被を纏っての「博多ドンタク」のお披露目があり、 代表の足立さんよりあいさつで会は締めくくられました。そして、300人を超す会はそれぞれの労いと、福岡大会での再会を誓っての散会となりました。
来賓あいさつをいただいた、
郡山市教育委員会教育長:
木村孝雄氏
博多ドンタクを披露する次期開催県(福岡)実行委員会の方々